デモを失敗させない為には

テレ東NEWS 2020/06/26

アラブの春は、中東に混乱をもたらしました。

民主化デモにより、望まぬ結果を享受することになったのです。

今アメリカで起きているデモは、どの様な結末を迎えることになるのでしょうか。

ある一人の活動家の視点から、考察させて頂きたく思います。

有り難う御座います。

カーティス・ヘイズ・ジュニア

経営者・人権擁護活動家

警察車両を取り囲むデモ隊に参加しようとする黒人男性を諫める。

「別の方法を見つけるんだ」

「判ってるさ!」

「なんとかしないと!」

「判ってる!」

「立ち上がらないと!」

「判ってるさ!」

「子供はどうなる!?」

「判ってるさ!」

「歳はいくつだ?」

「うんざりだ!」

「俺は45歳だ」

「そうか、俺は31歳だ」

「うんざりだ」

「あんたも俺も大人だろ?」

「俺達の世代は何もして来なかった!

糞ったれな目に遭ってきた!

ただ神の救いを待ちながら!

ただ待ってるだけだった!

誰も俺達を救いに来ない!

俺達が変えないと!」

「判ってる!

でもな、俺にも言わせてくれよ。

こいつは16歳だ。

まだ16歳なんだぜ!

それでもだ!

16歳だぞ!!」

「だったらどうするってんだ?」

「俺が聞きたいよ!

でもこの方法は間違ってる!

奴らは撃つ準備が出来てる!

アメリカ大統領が言ってんだぞ!

『略奪者は撃つ』ってな!

こんな事してても悪化する一方だ!」

「でも、立ち上がる時だ!

来るとこまで来ちまったんだ!

俺は死ぬ覚悟が出来てる!」

「いいか、良く聞け。

今お前が見ていることは、また起るぞ!これから10年後にな!

お前が26歳になった時に、お前は俺と同じ経験をするんだ!

それが判るか?

10年後だぞ!

同じ場所に居るんだ!

16歳のお前達に考えて欲しいのは、もっとましな方法だ。

俺達のやり方じゃ上手くいかないぞ。

彼は46歳で怒ってる。

俺は31歳で怒ってる。

お前は16歳で怒ってる。」

「彼の言う通りよ!」

「もう終わりだ。判るか!?

自分の身を危険に晒すのは、正解じゃない!

お前と、お前の同世代の奴らには、その力があるんだ!

新しい道を見つける力が!

俺達の世代には無理なんだ!

俺には5歳の子供がいる。

だから無理なんだ!!!

俺も4年前にデモに参加した。

お前達と全く同じ事をしたんだ!

全く同じ事をした!!

来る日も来る日も!来る日も!!

でも関係ないんだ!

マシな方法を考えろ!

判るか?

自分の身を大切にしろ。」

インタビュー

動画についての回想

「45歳の男性は年長者だから、多くの人が彼の行動に注目している。

彼が怒りに任せて警察車両を叩いてしまったら、多くの人が同じような行動を取ってしまう。

だから16歳の少年を引き込んで説得しようと思った。

16歳の少年は、変化を求めて、命がけで抗議をしている。

だから、正しいやり方で、少年の声が届く様にしたかった。

デモの現状について

「事件から一ヶ月経ちましたが、変化は見られますか?」

「以前と違い、50州全てでデモが行われている。

これは本当に大きい。

黒人の為に声を上げると思わなかった白人が、大勢デモに参加していることも嬉しい。

多くの人は、子供や家族の将来を思い、

この問題の”元凶”に逆戻りしない解決方法を見出す為に動かなければ。

50州でデモが行われているから、私達の声は政治家に確実に届いている。

只、法律を変えようと思わせる程響いているかが重要だ。

幾つかの州では警官の拘束時の首締めを禁止する事を決めた。

確かに幾つかの事は変わった。

只、「首締め禁止」は足掛りに過ぎない。

それだけでは、今アメリカで起きている事を止めることは出来ない。」

「アメリカは、新たな道に進まないといけない。

私達黒人は、何百年もこの様な状況下で暮らしてきた。

今こそ変えなくてはならない。

平等や、世界平和を訴えて。

公民権運動に影響を与えた歴史的人物の銅像を建てれば良い。

今建っている銅像は、白人の為だけに動いてきた白人の銅像ばかりだ。

全部撤去すれば良い。

しかしそれと同時に、法律も変えていかねば成らない。」

家族について

「10歳の娘は、今アメリカで起きていることを理解している。

私がメディアのインタビューを受けている姿も見ているし、

でもインタビューの時、『パパ、マスクは?』って言われるから、

『ソーシャルディスタンスを取っているから大丈夫』って答えている。

父親が身を危険に晒していることは理解している。

娘は『平等』への道は険しい事も理解している。

だから娘には『パパがそうしているのは君達を守る義務があるからだよ』

『君が危険な目に遭わなくて良い様にする為だよ』と伝えている。

そして5歳の息子の事を考えると、10年後、彼が肌の色が違うという理由だけで殺される可能性があって良いのかと・・・

だから子供達にはそうならない為に、彼等の為に、

『パパは”悪”と戦っている』と伝えている。

『なぜなら君達は何よりも大切だから』と。」

執筆中の著作について

「皆生まれ育った環境に染まってしまう。

自分で勉強し、考えた上で行動することだ。

育ってきた環境では正しいと言われていたことが、間違っている可能性もある。

だが私が伝えたいのは、自分で取捨選択して、自分の人生を作り上げて欲しい。

継続して読んでもらえれば、『解決方法は無いのか?』と思い始める。

そうなれば、その人は解決方法に向けて動き始めた事になる。」

私見

暴力による解決が事態を逆行させる事に気付き、若者の未来を思い、諫言を呈した事には賞賛を贈りたいと思います。

そして、より良い選択を模索する姿勢は、応援したいと思います。

しかし、何も分かっていない。

問題の発端は、白人至上主義に基づく植民地支配にあります。

白人至上主義は、白人が優秀であった事による必然では無く、そう思わなければ、キリスト教徒としての良心が許さなかったからです。

「貴方は隣人を、自分自身の様に愛さねばならない」(マタイ 22:39)

彼等は、奴隷として酷使する有色人種を、”隣人”に相当しない事を証明せねばなりませんでした。

面白いことに、彼等は本気になってそれを研究し、失敗することになります。

例えば、インド人に対し、その人種、言語、文化、宗教を徹底して追究していった結果、同じアーリア人である事を発見してしまいました。

更には現在に到り、現存する人類はホモ・サピエンスのみでありますが、純血のホモ・サピエンスはアフリカ固有の黒人だけであり、それ以外のホモ・サピエンスは、全てネアンデルタール人等と混血した雑種である事が判明しています。

我々はネアンデルタール人との混血だった 覆る進化の定説 日経サイエンス - 日本経済新聞
人類進化の定説が大きく揺らいでいる。最近の研究では、ネアンデルタール人などの旧人類と現生人類との間に、これまでいわれていたような深い断絶はなく、実はかなりの交わりがあったことが明らかになってきた。むしろ、別の血を入れることが人類をより強く進...

黒人は、謂わば高貴な人種なのです。

さて、植民地支配は、白人が”悪”だったから行ったというわけではありません。

当時の欧州は、小国に分立しお互いに領土争いを繰り広げていました。

戦争が常態となっているので、兵器が加速度的に進化していきます。

ちょうどその時、海上交易路が開拓されました。

当然の如く、他国との戦争に勝つ為に、そのメリットを利用しようとします。

生き残る為には、そうせざるを得ません。

平和な交流をしていては、他国に武力で奪われます。

兵器の進化していた欧州勢力は、武力で支配することも可能でしたが、より効率的な方法として、「分断統治」を採用しました。拡張される防衛ラインを、自国の兵力では賄いきれないからです。

「分断統治」は、現地住民を分断し、片方と同盟関係を結ぶことにより、その集団に統治させることです。その集団には、分断により敵をお膳立てしているので、進化した武器を提供する欧州勢に、ほぼ確実に頼ってきます。欧州勢は、武器を供与する代わりに、莫大な利益をもたらす交易品を手にすることが出来ます。

同盟相手が多数派である場合、直ぐに敵勢力を鎮圧してしまう可能性があります。これでは、取引が破綻してしまいます。

よって、同盟相手には少数派を選択しました。そして、彼等を優秀な集団であると信じ込ませました。更に、多数派に恨まれる様に、残虐な統治を奨励したのです。これで、長期的な搾取が可能となります。

その後数世紀に亘り、支配される者は、「優れた者が劣った者を支配する世界」というストーリーに閉じ込められたのです。

これがこの問題の本質です。

このストーリーからの脱却が、この問題の解決となるのです。

同じホモ・サピエンスに、たいした違いなどありません。

黒人と白人が逆の立場であれば、今の黒人と同じように、自らの人種に対する感情を白人は抱くことでしょう。

ベースとして、白人と黒人を持ち出す必要はありません。

この論点を持ち出すだけで、事態は逆行します。

白人と黒人で分断されるからです。

「今建っている銅像は、白人の為だけに動いてきた白人の銅像ばかりだ。全部撤去すれば良い。」等という発言は、致命的です。

この構図で対立すると、必ず黒人は敗北します。

黒人が劣っているという訳ではありません。

多くの黒人が、自らの人種を劣っていると思い込んでいるからです。

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