なぜイージス・アショアを断念したか

何故、イージス・アショア計画は停止されたのでしょうか。

この問題は、国防に位置付けられるものです。

この決定は、国防という観点から、ズレた観点からの位置付けなのか否か。

河野防衛大臣のご説明から、考察させて頂きたく思います。

有り難う御座います。

河野防衛大臣による説明

「イージス・アショアに関して、ご報告させて頂きたいと思います。

2017年の7月から9月にかけまして、北朝鮮が毎週のように弾道ミサイルを発射し、我が国の上空をミサイルが飛び越えていく、そういう事態が御座いました。

政府として、その対応を検討し、2017年の年末に、国家安全保障会議、並びに閣議で、イージス・アショアの配備を決定を致しました。

その配備を進めいていく中で、山口県と秋田県に配備をするのが、最も効果的に日本の国土全域を防御出来る、そういう判断になり、山口県のむつみ演習場、秋田県の新屋演習場に配備をさせて頂きたいということで、候補地を選定致しました。その間、防衛省の方で、不適切な対応も御座いまして、地元には、大変ご迷惑を、お掛けをした所で御座います。

秋田の方は、再調査を行って、ゼロベースで、配備先を検討する、そういうお約束の下、再調査を進めいている所で御座いましたし、むつみの演習場につきましては、地元の萩市の方で有識者会議を立ち上げて、様々、検討して頂いている、そういうプロセスで御座いました。

この、地元へのご説明の中で、このミサイルの第一段目に当ります、ブースター、これは、重量が200kg位あるもので御座いますが、地元の皆様の安全を考えて、このブースターは、むつみでは演習場内に確実に落下させる、また、秋田県、当初新屋演習場を想定をしておりましたので、新屋では、海上に落下させる、そういうご説明をしてきたところで御座います。

当初、防衛省は、ソフトウェアの改修で、このむつみ演習場内に確実に落下することが出来る、そういう認識で、居りました。

日米で、様々、技術的協議をする中で、どうもソフトウェアの改修だけでは、確実に、演習場内に落下させるということが、言えないのではないか、そういうことになり、日米で協議を続けていく中で、5月の下旬、ハードウェアの改修が、併せて必要である、という結論を得るに到りました。

ミサイルの、ハードウェア改修をするに当りまして、SM-3ブロック2A、これが、開発期間12年、コストが日米合わせて2,200億円、少なくとも2,200億円、恐らく今度の改修も、同じような規模になることが、想定をされます。

また、ミサイルを改修し、口径が大きくなれば、垂直発射装置も、新たに開発をしなければならない、ということで、少なくとも2,000億、10年以上のコストと、期間が、掛かる、その、コストと期間を掛けて、ブースターを、落下する、その場所を特定することが出来るようになるかもしれませんが、ミサイルの性能の向上には繋がらない、ということで御座いますので、この、コストと期間を掛けて、ミサイルの改修をハードウェアの改修をするのは、合理的ではない、そういう判断をするに到りました。

この週末に、山口県、秋田県を訪問をし、ご説明とお詫びを申し上げ、配備のプロセスを停止した、そういうご報告をさせて頂きました。

昨日、国家安全保障会議が開催され、私から、この経緯を、報告をし、国家安全保障会議で、議論を頂いた結果、今回の、山口県、及び秋田県へのイージス・アショアの配備の撤回をする、そういう決定をするに到った所で御座います。

これまで、前任の岩屋大臣、あるいは小野寺大臣を始め、今日ご出席の皆様には、大変なご尽力を賜って参りましたが、こうした事態に到りました事を、深く、お詫び申し上げます。

小野寺会長からも、お話がありました様に、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威、未だに厳然として存在を致します。海上自衛隊、今日も、イージス艦、そして、PAC3を以て、防護に当っているところで御座います。お陰様で、イージス艦、8隻体制になりますが、常に、このイージス艦で、弾道ミサイル防衛に当るというのは、やはり、海上自衛隊の負担にもなりますし、昨今の、東シナ海の情勢に鑑みて、このイージス艦を弾道ミサイル防衛のみに充てるというのも、決して安全保障政策上、得策ではない、その状況に、変わりは御座いません。しかし、残念ながら、こうした事態になりましたので、当面、イージス艦とPAC3で、しっかりと、日本を、防護しながら、この後、どうするかという議論を、党の方でもご議論を頂き、また、政府でも、しっかり議論をして参りたい、という風に考えて居ります。

元々、イージス・アショアの配備には、後5年、あるいは若干それ以上、ということが想定をされて居りましたので、海上自衛隊も、イージス艦の形勢を、少なくともその期間維持をするというのは、想定の内、で御座います。

しかし、中長期的に、どの様にしていくか、ということは、今から、しっかり、考えていかなければなりませんし、これからご検討頂くについては、様々な弾道ミサイルの、新たな技術、というのも生み出されている、というわけで御座いますので、それに対する、対応も、ご検討頂くという必要があろうかと思って居ります。

党の方でのご議論に、防衛省としても、全面的に、様々な観点から、ご支援を申し上げたいと思って居りますし、党と政府の間で、しっかりと、意見交換をしながら、前へ、進めて参りたい、という風に思っている所で御座います。

今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

そして、今日この場に、いらっしゃいません、あの、中泉前参議委員議員、あの本当に、取り返しのつかない、申し訳ない、あの、思って、居ります。あの、私も、電話申し上げて、お詫びを致しましたが、あの、中泉さん、これからしっかり、私も、個人的にも、バックアップして、参りたいという風に思って居ります。今ここで申し上げても取り返しがつきませんが、心よりお詫び申し上げて、私のご挨拶、ご報告とさせて頂きます。」

中泉松司前参議院議員は、2019年7月の秋田県参議院議員選挙に於いて、イージス・アショア推進派として、イージス・アショア反対派で無所属の、寺田静現参議院議員に敗北している。

会見の考察

まず、最後のご発言から、今回の決定を後悔なされて居られることが覗えます。

つまり、想定外の結果がもたらされたということになります。

想定なさって居られたのは、繰り返しご発言為されて居られる、「コストと期間」という観点から、改善がもたらされるであろうという想定で御座いましょう。

しかし、この観点は「国防」からの視点では御座いません。

つまり、「国防」という観点からの改善では御座いません。

結果としてもたらされたのは、

1. イージス艦8隻とPAC3による、監視とミサイル防衛の、現状維持。

2. 5年後に配備予定であったイージス・アショアを前提とした防衛計画の、これからの全面的見直し。

3. 説明不足により、「ブースターの落下よりも、弾頭を積んだミサイルの落下を選択した地元住民」を創造してしまった現実。

4. 「ブースターの落下よりも、弾頭を積んだミサイルの落下を選択した地元住民」の意思に基づき、米国の戦略に変更を求めねばならないという現実。

私見

「ブースターの落下よりも、弾頭を積んだミサイルの落下」を支持する人など、殆どいないでしょう。

結果として、知らぬ間にそういう人達にさせられてしまったと言えるのではないでしょうか。

何故この様な結果になってしまったかといえば、知らなかったからです。

何故知らなかったかといえば、その様な選択肢を聞いたことがなかったからです。

何故聞いたことがなかったかと言えば、その様な報道がなかったからです。

何故その様な報道が無かったかと言えば、言えなかったからです。

何故言えなかったかというと、現在の報道機関の大半は、戦前に戦争を「煽った」という事実を背負っているからです。

戦後、アメリカの占領政策により、日本は悪しき戦争の首謀者であったとの認識を叩き込まれました。

現在、国民の大半は、当時の国民が時の為政者の誤った判断に身を委ねた事が原因だったと考えています。

しかし、事実はそういうことではありません。

事実がそういうことでは無いので、敗戦の事実を総括することが出来ません。

事実を誰もが理解できるように総括してしまったら、白人が頂点に君臨する帝国主義的世界観を崩壊させた、あの「悪夢」が蘇ってしまいかねません。

何れにせよ、日本国民の大半は、事実を知らぬまま、盲目的に権威に反対するようになってしまいました。身を守るには、それが最善の策だったのです。殊に米国の保護下に於いては。現在の報道機関は、そんな日本国民を、敵に回すことは出来ないのです。

戦後長い年月を経て、現在の報道機関の所属する方々は、何故自分たちが反体制的な立場を維持しているのか、理解していないでしょう。よく分からずに、そういうものだと思って居られることでしょう。しかし、時代は変わりました。

今アメリカの求めているのは、弱い日本では無く、強い日本です。

彼等は、決して悪い奴らではありません。

第二次大戦後、日本を跪かせながらも、自らの行いを省み、白人の君臨する帝国主義的世界観を放棄し、有色人種の自主独立と人権を追認してきました。殊に英国は、自らの歴史に嫌悪を抱き、自虐史観に陥り、サッチャーが教育改革を主導するまで、「イギリス病」なる病を患ってさえおりました。ヴェトナム戦争に敗北したアメリカでは、レーガンが教育改革を主導するまで、国家に対する国民の信頼は崩壊したままでした。

曾ての「悪夢」は成就したと言い切れるわけでは御座いませんが、今や彼等は、曾ての大日本帝国の要求を、彼等なりに実現してくれたものと判断してもよいのではないでしょうか。つまり、戦前の日本の事実を、今現在、曾ての大日本帝国の視点から総括したところで、欧米と袂を分かつことにはならぬであろうと思われるのです。

日本が再び強くなるには、盲目的に権威に反対する偽りの国民性を脱却し、事実に基づき判断する国民に戻らねばなりません。

では、如何にしてそれを実現してゆけばよいのでしょうか。

少なくとも、自分たちは何も知らないということを、理解する必要があるでしょう。

学歴は関係ありません。高い方が、却って理解していないのではないでしょうか。

そういう教育に順応出来てしまっているのですから。

低ければ良いと言っているわけでも御座いません。

そもそも知らないというのが問題ですので。

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