For Black Men

今世界で、一人の黒人の死が、多くの人々を抗議へと駆り立てています。

その渦中に居るのは、黒人です。

彼等は只、煽り立てられている哀れな人々なのでしょうか。

違います。

確かにそこには、叫びを挙げねばならぬ何かがあるのです。

蹂躙され虐げられた歴史を持たぬ我々日本人の知らない何かが。

中村航テレ東ロンドン支局長様、テレ東様、そしてJohn Boyega様、良き取材、良き報道、そして自らを省みぬ同胞への深い愛。

有り難うございます。

John Boyega 1992~

1992 

ペンテコステ派(主に都市の移民、移住者、低所得者を中心に広がっていったプロテスタントの一派)の伝道師である、イギリスのナイジェリア移民の家庭に生まれた。

2001(9歳)

南ロンドンのペッカム劇場の芸術監督に見出されて劇団に参加し、14歳まで、学校の授業以外の時間のほとんどを劇場で過ごす。彼の収入は家庭を支えたが、父は伝道師を継ぐことを望んでいた。

2003(11歳)

ウェストミンスター公立学校に進学。学校が企画する演劇活動に参加。

2008(16歳)~2010

サウステームズカレッジのワンズワース校に在学。舞台芸術を専攻。

「オセロ」の主演を務めるなど、精力的に活動。

「オセロ」は彼にとって最も重要な経験の一つであったと語っている。

「父が初めて観劇に来てくれた舞台であり、そして父は涙を流してくれました。そのことは、演劇の道へ進むことを、真剣に考えるきっかけとなりました。」

News

「オセロ」

「オセロ」はシェイクスピア悲劇。副題は「ヴェニスのムーア人(黒人)」。

ヴェニスの軍人オセロ(ムーア人)が、旗手イアーゴーの奸計に掛かり、妻デズデモーナ(白人)の貞操を疑い殺害。後に真実を知ったオセロは自殺する。

オセロはヴェニス一の美女であるデズデモーナを妻に迎えたが、彼女の貞操に疑いを抱くことはなかった。それは、彼の高潔さと、軍人としての自負に支えられていた。しかし、彼が、自らが白人ではないと気付かされた時、その自負にひびが入り、決壊を始める。そして奸計が囁く。本来の彼ならば、妻を疑うことはなかった。

2015~

“Star Wars” Episode7~9 にてフィン役で出演。

2020/6 イギリス ロンドン ハイドパーク スピーカーコーナーにて

スピーカーコーナー

イギリスの民主主義を象徴する場所の一つ。

1855年、日曜営業規制法に反対する暴動がこの公園で発生した。同法は当時唯一の労働者の休日であった日曜日の商業活動を禁止するもので、その様子を、カール・マルクスがイギリスにおける革命の始まりであるとして詳細に記述している。

チャーチスト運動では、この公園が労働者の抗議集会の会場となったが、常設の場が設けられることは無かった。改革連盟(Reform League) は、1866年から翌年にかけて、労働者の選挙権拡大を求める大規模で激しい運動を展開した。

これら民主的改革を求める暴動や運動を受け、ハイド・パークにおける「演説する権利」について議論が始まった。その結果、1872年の王立公園及び庭園法 (Royal Parks and Garden’s Act) では、集会の許可権限を(中央政府ではなく)公園当局に委任した。人々はスピーカーズ・コーナーに於いて自由に弁論が行えるようになったと喜んだが、国会での議論に於いて、公園内に於ける集会・演説は無制限に認められるものではないとされた。しかし、公園の一部はそのような目的に使用できることとなった。

それ以来、スピーカーズ・コーナーは英国における抗議や集会のための場としての他、演説や議論を行う公の場として機能するようになったとされている。

Black Men !!

集まってくれてありがとう。

かけがえのない命に関わる問題だ。

黒人の命だって、ずっとかけがいのないものだった。

何時だってかけがえのないものだった。

困難にぶち当たっても、乗り越えてきた。

時が来た!

もう待ってはいられない。

俺はイギリス生まれの28歳。

生まれも育ちもロンドンだ。

ある時全ての黒人が、「自分は黒人だ」と気付かされることがある。

判るか?

人から「お前は黒人だ」と思い知らされる。

その瞬間を、全ての黒人は忘れることが出来ないんだ。

デモに参加する皆と真逆の奴らが、

俺達が成し遂げようとすることに反対してくる。

ふざけるな!!

人の命をなめんな!!!

皆、座って欲しい。

皆に判って欲しい。(涙)

とにかく判って欲しい。(涙)

どれだけの痛みか判って欲しい!

どれだけ辛いのか判って欲しい。(涙)

「俺達黒人には価値がない」

毎日思い知らされることが(怒)。

誰も問題にしてこなかった。

一度として問題にしてこなかった。

それを今日、俺達がやり遂げる。

まさに俺達が、

ジョージ・フロイドの命を、歴史に刻印するんだ。

(歓声)

サンドラ・ブランド(2015 拘留施設で死亡)もだ。

トレイザン・マーティン(2012 射殺 当時17歳)もだ。

スティーブン・ローレンス(1993 殺害)、

マーク・ダガン(2011 射殺)もだ。

この抗議は、秩序を以て行われなければならない。

出来うる限り、平和的にだ。

平和で秩序あるデモにしよう。

奴らは俺達を挫けさせようと、

狂気に走らせようとしてくる(怒)。

今日はそれを止めよう。

今日はそれじゃない。

それじゃないんだ。

特に「黒人の男達」に向けて言いたい。

“Black Men !!”(涙)

(嗚咽を堪える)

“Black Men !!”

「黒人女性」を大切にしろ。

彼女達は俺達そのもので、

俺達の未来だ。

自分を悪魔にしてはいけない。

俺達は家族の柱だ。

こんな国を想像してくれ。

繁栄して健康で活発で、

愛を込めて子供を育てる、

そんな家族で創る国の事を。

もっと善い人間になろう。

俺達が切り拓こう。

黒人の男達から始めよう。

悪い奴と思われたら、信用されない。

俺達が善い奴にならないと・・・

まだ判ってない!

本気でお前達に言ってんだ!

もう俺のキャリアなんかどうなったっていい!

糞食らえだ!!!

糞糞糞喰らえだ!!!

今日は、これまで虐げられてきた黒人達の記念となる日だ。

ジョージ・フロイドが何を為し得たのか、俺は知らない。

サンドラ・ブランドが何を為し得たのか、俺は知らない。

だが今日は、子供達に判ってもらおう。

俺達が成し得ることを。

皆、子供を家に置いてきたのかな?

家に帰ると、子供が無邪気に遊んでいて、

何が起っているかなんて、判っちゃあいない。

正に今日、子供達に伝えよう。

「君たちの人生に、一生を捧げる」と。

投げ出さないし、諦めもしない。

ずっとだ。

皆の中には、芸術家も、銀行家も、弁護士も、店のオーナーも居ると思う。

皆の力が必要だ。

一人一人の力が、権利が、必要なんだ。

皆でより良い世界を創ろう。

一緒に、この特別な事を成し遂げよう。

(歓声)

私見

現在の国際情勢を眺めてみるに、米中の争いは、自由と統制の対立へと収斂していく模様です。

世界は二分されるでしょう。

今回の事件は、自由主義陣営に、重要な選択を迫っています。

結束を強めるか、あるいは分裂するか。

真の自由

資本主義社会に於ける自由の意味するところは、自己実現の賛美です。

自己の日常を、限りなく意識で統制し、職業の合理化を推し進め、その結果としての富の量に於いて神の恩寵を確かめるという、プロテスタンティズムの倫理から導き出された手段に過ぎません。

日常を自らの意思で完璧にデザインする自由、神から授かった自らの才能を、職業を通じて世に知らしめる自由、そして自らの価値が神に祝福を受けていることの証としての富を享受する自由。

所謂アメリカンドリームの本質は、ここにあります。

それは、怠惰を貪る自由ではなく、享楽に耽る自由でもなく、鎖国する自由でもなく、民族自決の自由でもなく、歴史を修正する自由でもなく、白人を奴隷として使役する自由でもなく、理想の社会主義国家を建設する自由でもなく、資本主義を否定する自由でもなく、キリスト教を否定する自由でも勿論ありません。

無数に存在する自由の内の一つに過ぎません。

さて、統制主義国家陣営と対峙するに当り、自由主義国家陣営は、自由を如何に定義するのでしょうか。

今回の事件の結末が、その問いに対する答えの一つとして認識されることは、避けられぬ事でしょう。

賢明な選択を期待致したく存じます。

参考

https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ボイエガ

https://ja.wikipedia.org/wiki/スピーカーズ・コーナー

いつもお世話になっております。

アクセスいただいたサイトはメンテナンス中です
アクセスいただいたサイトはメンテナンス中です

角川版「オセロー」訳者の河合祥一郎さんの解説です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました